土曜日。
結局、汐音は無難な感じにグレーの綺麗めワンピースを選んだ。
すっきりとしたシルエットだが、実は裏起毛で、全身に三枚カイロを貼っている。
そして、ブーツの中にもカイロ。
それに軽いが暖かい、ファーのついた少しくすんだ紫系のコートを着て、汐音はアパート近くのコンビニで求を待っていた。
よし、オッケー、ばっちりっ、と思っていたが。
実際、ばっちりと自信があるのは、防寒対策だけだった。
……冬、いらない、と汐音はつい、思ってしまう。
いや、冬は楽しいイベントも満載なのだが。
耐えがたい寒風にさらされるたび、常夏の島に行って、ウクレレを奏でて暮らしたいと思ってしまう。
島のビーチでウクレレ片手にドリンクを飲む妄想をしながら、目は雪の中の絶景露天風呂特集をやっている雑誌の表紙を見る。



