あ~、おむすびの具はすぐ決まるのに、土曜日着てく服が決まらない~っ。
スーパーに明太子買いに行くより、服買いに行くべきだろうか……と悩みながら、会社の前を走っていた汐音は、コンビニ前で渡真利と出会った。
「お疲れ様です~」
と言って、走っていた足をゆるめると、
「何処へ行く、汐音」
と渡真利に言われる。
足を止め、汐音は訊いた。
「いいんですか? 誰か来ますよ」
渡真利がいきなり呼び捨てにして来たからだ。
「来るぞ」
と渡真利は言う。
「お前の会社の奴と、これから呑みに行くんだ。
待ち合わせてる」
「めちゃ馴染んでるじゃないですか、あの会社の人と。
私、いらなくないですか?」
渡真利はそれには答えず、
「何処着てく服を悩んでるんだ?」
と訊いてきた。
あ~、と汐音は苦笑いして頭を掻く。



