「そうか、お前の家はこっちの方なのか。
送ってやろうか?」
話の流れで汐音の家の大体の場所がわかった求は汐音にそう訊いた。
今日はこのあと、武志と呑みに行く約束をしているのだが。
武志がまだ社に戻ってきていなかったので、買い物をして時間を潰していたのだ。
「い、いえいえ、とんでもないですっ」
と汐音は慌てたように言ってくる。
……遠慮か?
遠慮なのか?
それとも、俺を警戒してるとかっ?
俺が嫌いとかっ?
俺にあっちに行って欲しいとかっ?
求は仕事ではありえないくらいマイナス思考になりかけていた。
さっきから、荷物持ってやろうか、も言いかけて言えていない。
いや、可愛い柄のマイバッグは全然重そうではなかったのだが。
頭の中に『城』が残っているので。
城が入っているのなら、重いだろうな、と思ってしまうのだ。
……入っているわけもないのだが、なんとなく。



