デスクに着いて武志が仕事をしていると、無表情な求が帰ってきた。
……なにか嬉しいことがあったが、顔に出さないようにしているようだな、と長年の付き合いなのでわかる。
「求、なにかあったのか?」
学生時代に立ち上げた会社なので。
会社が大きくなった今でも、社内の人間しかいないときは、昔のまま名前で呼び合っていた。
「いや、別に」
と言って、自分のデスクに着こうとする求に武志は言った。
「さっき、可愛い子と居たけど……」
求がギクリとした顔をする。
「誰? あの子」
と訊くと、公園でおむすびを分けてくれた子だと言う。
「……お前、もう少し役員報酬貰ってもいいんだぞ」
社長といっても、他の役員より飛び抜けて多く貰っているわけではないのは知っている。
「いや、金がないわけじゃないからな……」
と言う求に彼女のことをいろいろと訊いてみた。
求が仕事以外で女性と積極的に話すことなど珍しかったからだ。



