父母を先に行かせ、汐音は残った。
求に、
「何処の猫を逃がそうとしてるのかと思いましたよ」
と笑って言ってくる。
いや、お前が呼んでるんだよな? もふもふさんって……、
と求が思ったとき、汐音はスマホで時計を確認し、
「あっ、じゃあ、みんなが待ってるんで、これでっ」
と言ってきた。
……行ってしまうのか、汐音。
いっしょにお昼を食べないか、汐音、と思っていたが、つい、
「ああ」
と言ってしまう。
ぺこりと頭を下げ、軽やかに走っていってしまう汐音の後ろ姿を見送っていると、渡真利が頷き、言ってきた。
「なるほど。
そういう表情で見送っていると、汐音に恋しているように見えるわけだな」
いや、どんな顔してるんですかね? 俺……。
渡真利さんに俺の感情、お見通し、ということは、汐音にも俺の想いは丸見えになっているのだろうか。
そう不安に思いながら、
「渡真利さん……。
一緒に食べます? お昼」
となんとなく訊いてみた。



