渡真利は仕事があるというので、帰っていってしまった。
いや、俺も仕事があるんだが……と思いながらも、求はまだ汐音とともに自動販売機の前に残っていた。
「すみませんでした」
ともう一度、汐音が頭を下げてくる。
「加倉井さんの機転のおかげで助かりました」
確かに、あの場で俺が、あれっ? 繁さん? とか言っていたら、誤魔化すの大変だったろうなと思う。
まあ、この二人のことだから、なんとかするのだろうが。
「……どうりで、繁さんとこの辺でよく会ってたわけだ」
と呟いたあとで、求は汐音に訊いた。
「繁さんと渡真利さんは、ずいぶん感じが違うようだが。
どっちが本物のあの人なんだ?」



