狙われてますっ!

 いや……。
 まあ確かに、俺が汐音の口から聞きたいから言うなとは言ったんだが。

 俺が呑気に汐音が言うのを待ってていいのは。

 せいぜい部屋で柔道の練習してて、音がうるさいんじゃないかと気にしていることくらいまでじゃないのか、有川っ!?

 お前、忠実すぎるぞっ、と求は頭を抱える。

 少なくとも、汐音の料理が危険、よりは伝えておくべきことがあったはずだろ!?
と思っている求に渡真利が言ってきた。

「あの有川とかいう男、昨夜、俺に向かい、訊いてきたよ。

 誰なんだ―― と。

 今のお前は誰なんだ?
という意味で訊いてきたんだろうな」

 そこで、ちょっと笑った渡真利の顔を見たとき、求は思っていた。

 俺も有川のことを言えないかな、と。

 汐音たちの重大な秘密を知ってしまったことより、瑣末(さまつ)なことが気になる。