狙われてますっ!

「社長、例のおむすび、採用することにしましたよ」

 またエレベーターで出会った女子社員たちに言われ、求は、

「……は?」
と言ってしまう。

「おむすびを受け取ったところからはじまる恋物語。
 メインキャラの話じゃないんですけど。

 入れてみました」

「そ、そうか……」

 あの日、自分が適当に言ったことを思い出し、求は考える。

 ゲームだと簡単に再会できて、物語はつづいてくんだろうが。

 現実には、どんな印象的な出会い方をしても、二度と出会わないことがほとんどだ。

 もう一度……

 あのおむすびに会いたいんだが、と求は思っていた。

 汐音が聞いていたら、
「いや、私はっ?」
と叫んでいたことだろうが――。