狙われてますっ!

「なによ。
 彼氏が居たら、イケメンに声かけちゃいけないのっ?

 挨拶するのは人としての礼儀でしょっ」

「人としての礼儀なら、あっちに居るコピー機の会社のおじいちゃんにも飛んでって挨拶しなさいよっ。
 あのおじいさんも颯爽とコピー機直してくれるわよっ、プロだからっ」
と二人は揉めている。

 だが……、

 それ以前の問題が……と思いながら、汐音は立ち尽くしていた。

 輝美たちが、そんな汐音に気づき、汐音の視線を追うように振り返る。

 そして、きゃっ、と悲鳴を上げていた。

「やだっ。
 めちゃめちゃいい男っ」
と二人が叫ぶのが聞こえた。

 そして、渡真利に聞こえなかったかと慌てて振り返ってみている。

 輝美たち用に感じのいい微笑みを浮かべたまま、渡真利が小声で言ってくる。

「……汐音、なんで報告しなかった?」

 汐音も引きつってはいるが、笑顔を浮かべたまま、早口に渡真利に謝った。

「聞いてなかったんですよ、すみません」