「今回の潜入はいつもより楽だな」
と昼間、汐音は渡真利に言われた。
「お前が居るからかな」
えっ、と汐音は驚く。
渡真利に褒められ、必要とされたのは初めてな気がしたからだ。
「潜入とはいえ、普通に会社勤めするのと変わらん。
もめ事起こすやつも居るんだよ。
そうなると、いろいろと厄介だからな。
だが、お前なら上手く職場の人間ともまあまあのなあなあでやっていけるだろ」
「渡真利さん……」
「それにお前を疑うやつは居ないだろうから、動かしやすい。
お前が俺たちが送り込んだ潜入捜査員だとは誰も思わないだろうからな」
渡真利さんっ、と感激したとき、渡真利は言った。
「普通――
もっと静かなやつを選ぶから。
いや、よく考えたら、凄腕だな。
お前を押した本部長と署長」
と何故かそのふたりが褒め称えられて終わった。



