「なにやってんのよ、あんたっ」
と給湯室で汐音は輝美に怒られていた。
「謎めいた部分は残しとかなきゃ駄目じゃないっ。
男と女の間には、ミステリアスななにかが必要なのよっ」
「……塩が城とか、どの辺がミステリアスなのかしらねえ」
と真琴が自分で入れたほうじ茶を飲みながら言ってくる。
だが、汐音は反省していた。
「そうですね。
せめてゲソの七味和えの方だけでも、正体を知らせないでおくべきでした……。
ゲソの七味和えが流れてきたとき、加倉井さんに目隠しでもすればよかったです」
だが、そこで真琴に、
「でもさ、汐音、その人に目隠しする勇気あるの?」
と冷静に問われ、汐音は想像する。
求の顔に手を触れ、目隠しをする自分を。
で、できない……。
恥ずかしくてっ。



