狙われてますっ!

 気がついたら、全力で走っていて。
 先を行く求が振り返り、笑って言ってくる。

「お前、なかなか速いじゃないかっ!」

 ……なんのスポーツ少年漫画だ、これは、と思いながらも汐音は走る。

 なんだか求に認めてもらった気がしたからだ。

 素敵な夜景がずっと真横にあるのだが、そちらを見る余裕はない。

 求はかなり加減してくれているのだろうが、やはり速い。

 なんのこれしきっ。
 いつもおにいちゃんに鍛えられてるしっ、と汐音は根性見せて走った。

「頑張れ、汐音っ!
 あと少しだっ!」

「はいっ」
と返事してスピードを上げながらも、なにに向かってあと少しなのかはわからなかった。

 しかも、よく考えたら、いつもよりヒールの高い靴を履いている。