「愉快な方ですね。
可愛らしいですが」
汐音に遅れて外に出ようとした求に、有川が小声で、そう言ってきた。
……ありがとう、とコメントに困って求は言う。
「あの方、何処かで見たことが、と思ったんですが。
警察にお勤めだったと伺って思い出しました。
そういえば私、以前、狭間様に一万円とられたことがあります」
微笑んだまま有川は言ってくる。
いや、汐音がとったわけではないと思うが、と思いながら、
「……お前もか」
と求は言った。
汐音は、往生際の悪い奴しか覚えてないと言っていたので、往生際がよかった有川のことは覚えていなかったのだろう。



