狙われてますっ!

「お前、配属されたての頃、呑み会で本部長を前に、隠し芸を披露したらしいな」

「ああ、あれですか。
 前、渡真利さんにもやってみせませんでしたっけ? 腹話術」
と言いながら、汐音は今、やってみる。

「あれ?

 声が……

 聞こえて、

 くるよ」

「いや、遅れろ……。
 っていうか、全然できてないぞ……」

 それを本部長の前でやったのか、と呆れられてしまう。

「それと、お前、お前んとこの女性署長にドラッグストアで会って。
 しょうもない世間話をした挙句、自白効果がある歯磨き粉が欲しいって言ったんだってな」

 美白効果の言い間違いですよ、もちろん……。

「私も欲しいわ~って言ってたぞ」
と顔を近づけ、脅すように言われる。

「え、えーと……。
 私は隠し芸と言い間違いで潜入捜査に選ばれたってことですかね?」
と後退しながら汐音は言ったが、

「そんなわけないだろ。
 本部長や署長の前で、まだ入って間もない新人が、成功しない隠し芸を堂々とやったり、しょうもない話を延々としてみたりする神経の太さを買われたんだ」
と言われた。