スッと服に通した、腕をみる。
紺の色に赤のライン。
今私が着ているジャージは、あの日借りた、瀬川くんのジャージと同じだ。
当たり前だけど袖は手首までで、ちょうどぴったりになっている。
…瀬川くんのは手のひらまですっぽり隠れるくらい大きかったな。
匂いも自分のものとは、違っていて。
自分のジャージを着ているだけなのに、瀬川くんのことばかり、考えている。
「…ジャージのこと考えていたんでしょ」
その言葉で我に返ると、すみれちゃんがニヤッとしながらこっちをみていた。
…私って、そんなにわかりやすいのか。