家の前で、心配顔の母さんが駆けてきて。
「昼に帰るって言ったでしょ?
道に迷ったの?」
俺の両肩を掴んで聞いてきたから。
『はぁ~、やっぱバレてるじゃん』
って、すっげー恥ずかしくなった時
俺を庇うように、望愛が言ったんだ。
『むち君。私と遊んでくれてたんだよ』
『帰りたくないって、
ワガママ言っちゃってごめんね』って。
俺の代わりに嘘をついて、
謝ってる望愛を見て。
何、
こんなガキにフォローされてんの?
俺って、ダッサ~。
自分が、めちゃくちゃ情けなくて。
「むち君、また遊んでね~」
笑顔で俺に手を振って、家に入って行く望愛が
無性に可愛く見えて。
そっからの俺は、もうダメ。
完全、望愛の沼にハマりっぱなし。