「お願い……撮らないで……」


「望愛ちゃん、笑って。
 泣いてる写真じゃ、
 譲さんが心配しちゃうでしょ?」


「うっ……っイヤ!」


「ほら、笑って~笑って~」



 大地君に抵抗するように、
 うつむいたまま首をふって。


「無理やりでもいいから、笑えって!」



 強い命令口調にも、
 敢えて目をつぶって抵抗。




 瞼を閉じても、流れてくる涙を
 肩で拭こうとしたその時。


 パシン!


 怒りが込められた重い手のひらで、 
 私の頬がはたかれた。




「なんで? 
 なんで俺の言うことが、聞けないかなぁ?」


 大地……君……?


「譲さんのためだって言ってるじゃん!
 なんでそれが、わからないの?!」