「それじゃあお母さん、私先に行ってるね」

「うん、分かった。お母さんも明後日の夕方くらいにはそっちに着けるようにするね。天、気をつけて行ってね」

「うん」


あれから約2年の時が流れ、私は大学1年生になった。

今は昊お母さんと2人で大学から徒歩圏内のマンションの一室で暮らしている。

まだこっちに来てから半年ほどしか経っていないけど、ふとした時に育ったあの町が恋しくなる。

だから、私はある人達と共に夏休みを利用して地元に帰ることにした。

昊お母さんも直接会って夏目家の皆にお礼がしたいということで、あとで来ることになっている。

ちなみに昊お母さんはヘルパーの仕事をしながらも、さらに質の高いサービスを提供したい、と介護福祉士の資格を取るために夜間の大学に通っている。

そんな昊お母さんに私は頭が上がらない。

一緒にいると、向上心が沸いてきて、私も負けていられないという気持ちになる。

私の勝手なイメージだけど、私達はお互いを高め合える同志みたいな親子だと思っている。

とにかく、良好な関係を築いているのは確か。

この日も早く出る方が朝食を作るといる暗黙のルールに則り、朝食担当は私、母は食器の片付けとゴミ出しの担当をそれぞれが引き受けた。

以心伝心が出来るくらいにまで半年で仲を深めたのだ。

私はそんな母に少し申し訳なさを感じつつも帰省の準備を進め、これから出かける。