【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。

「……はい」
 返事はひとことだった。
 でもその中にたくさんの気持ちが詰まっていること。きっと伝わった。
 北斗の瞳は、ふっとゆるんで、とても優しい色に変わったから。
 その優しい色は、ふいに近付いてきた。
 美波の胸が、どきんっとひとつ大きく打ったけれど、なにが起こるかはわかった。
 そして不思議なことに、自然とまぶたを伏せていた。北斗の優しい色の瞳が見えなくなる。
 代わりにくちびるにやわらかなものが触れた。
 こうなるのはわかっていたような気がする、なんて、今さらながら美波は思った。
 優しい温度を自分のくちびるで感じながら。
 触れている間。
 ごうっと音がしたような気がした。
 そんな音、聞こえるはずもないのに。
 飛行機の飛び立つ音、なんて。さっきだって聞こえなかったのだから。
 でも今のそれ。
 確かに飛行機の飛び立つ音だった。
 北斗を夢に向かって連れていく音。
 今は寂しいとは思わなかった。
 だって伝えてくれたのだから。
 半年後に少し離れることになったって。
 北斗の気持ちはずっと美波のそばにあってくれるのだと。


 (完)