「なかなかうまくできてるな」
 『チェック』によって、さっき撮影した写真を見せてもらった。
 美波が一人で立っている後ろ姿。
 思ったより自然な様子で、学校の教室。
 そこに女子生徒が立っている。
 ちゃんとそう見えた。
 でももう一枚のほうは、頭が煮えたぎりそうになってしまった。
 北斗の撮影なのだから、北斗がカメラのほうに顔を向けていて、横顔が見えている。優しい目をして、美波を見てくれている横顔。
 美波の顔は写っていなかった。ただ、この子は北斗のほうを見上げているんだろうな、くらいしかわからない。
 だけど、北斗とこんな、恋人同士のようなポーズで、写真を。
 おまけにこれは、来月、雑誌に載ってしまうのである。
 自分だとはわからないだろうけれど、恥ずかしくてならない。
「いいじゃん。お前に頼んで良かったわ」
 そう言って、北斗にぽんと背中を叩かれても、美波の顔のほてりはなかなか引いてくれなかった。