でも、今はもうそんなこと気にする必要はなかった。


ここはあたしたちがいた学校とは違う。


姿かたちを真似た、別世界なのだから。


「万引き」


あたしは短く答えた。


その答えに友香は瞬きをする。


「それだけかよ?」


そう聞いて来たのは浩二だ。


「うん。でも何度も繰り返して、何度も捕まって。ついに刑事事件になった」


あたしはスラスラとそう答えていた。


誰にも相談できないことだと思っていたけれど、こんな状況になったおかげで話すことができた。


そのお蔭であたしの胸の突っかかりは取れて、気分はスッキリとしている。


皮肉なものだ。