炎があたしの眼前まで迫り、無防備な白い肌を焦がしてゆく。


逃れようともがいても体は金造成のベルトで固定されていて、自由はなかった。


「誰か助けて!」


そう叫んでみても、広い体育館内に自分の声がこだまするだけだった。


炎はすぐそばまで迫ってきている。


汗や涙はすぐに枯れてしまい、悲しみや恐怖を表現することさえできない。


「誰か……!」


カラカラに乾いた喉で必死に叫び声を上げる。


その時だった。


炎の向こうに黒い人影が見えた。


誰かいる!


そう思って期待したのも、一瞬の出来事だった。