「ねぇ、今誰と話してたの?」

おそらく今日で20回以上は聞いたであろうこの台詞。
電話してた相手が女だろうと男だろうと関係ない。

「と、友達だよ。去年同じクラスだった…」

「名前は?住所は?そいつの電話番号は?」

すかさず個人情報を入手しようとしてくるので、言いそうになった相手の名前を飲み込む。

蓮は頭が良くて顔もかっこいいクラスの人気者。しかも家がお金持ちで、その上芸能活動もしている。
そんな彼と私は幼い頃からずっと一緒に育ってきた幼馴染で、初めての恋人同士だった。

「携帯見せて」

ロックを掛けても隠しても、すぐに見つけて解除されるのでもはや諦めたように蓮に明け渡す。

「ふーん、桜井くんね」

通話履歴の名前を見て、蓮が削除ボタンをタップしたのだとわかった。

「ちょっ、返して!」


「何で?いらないでしょ。男友達なんて」


俺がいるんだから。
私の彼氏は凄い束縛彼氏。
そして超がつくほどの“ヤンデレ”だった。