抱きしめる力が少し強くなった。

仁坂、震えてる・・・?

「俺はね、偲に生きて欲しい。笑ってて欲しい。幸せになって欲しい。そのためなら俺、何だってするよ」

仁坂は私に頬擦りをしてくる。
いつものように、愛おしそうに。

仁坂にとって私は特別な存在なんだ・・・。

嬉しい。

「私、仁坂といられてすっごい幸せだよ」

今できる最大限の気持ちを精一杯伝えた。

もっと頭が良ければ、もっと正確に気持ちを伝えることが出来るのに・・・・・・。

そんな自分がもどかしいと思った。

「俺も。偲といられて幸せ」

耳元でそう囁いた仁坂はゆっくりと離れて、私をの手を取った。

「もう遅いし、寝よう?」
「・・・・・うん!」

勇気を出して聞いてよかった・・・。

ありがとう、仁坂。

でもね、それと同時に、今が幸せすぎていつかまた壊れてしまうのではないかと怖くなっちゃったよ・・・・──────。