仁坂と出かけたら毎回全て仁坂が払うので、溜まっていく一方でどうしたものかと困っていたものだ。
ようやく使えた。

「いいなー。私も亮介に何か頼も。というか、仁坂くんには何のご褒美あげたの?」

その一言で膝枕したことを思い出し、むせるかと思った。
「・・・ひ、膝枕」
「膝枕ぁ!?仁坂くんよくやったねぇ!」
「よくやった・・・?」
「いやこっちの話。どんなだったー?」

私の疑問はすらっと流され、膝枕の件が掘り下げられる。

「髪がサラサラでこしょばかったかも。あと、甘える仁坂が可愛くてつい頭撫でちゃった・・・」

ちょっと自分気持ち悪いかも。
何その理由。
改めて考えるととんでもないことしたな。
苦笑いしたところでこ誤魔化せることじゃないぞ。

「それ仁坂くん喜んだでしょー?」
「・・・心地いいとは言われた」
「そっかそっかァ」

まどかちゃんは楽しそうにニマニマと笑っている。

「どうせ海行くんだったらさ、水着とか着ないの?」
「それはちょっと・・・」
「泳げないとか?」

さすがに傷のことを言うわけにはいかないので、即席でそれっぽい理由をでっち上げる。