私はそこらの身の程知らずじゃないんでね。
なんちゃって。

でも、この時間が私にとって"唯一"心休まる時間なの・・・──────。




「着いたよ」
「え・・・!?」

あれからタクシーに乗って仁坂に連れてこられたのはとても大きなタワーマンション。
この周辺の建物の中で1番高い。
しかもその最上階、47階が仁坂の住んでいる部屋だった。

仁坂ってお金持ちだったんだ・・・。
もしかして御曹司?

言われるがまま着いてきたはいいものの、仁坂は本気なのだろうか。

冗談を言うタイプではないがどうしても疑わざるをえない。

だって家出したって言ってすぐ受け入れてくれるなんておかしい・・・!!
学校だって無断欠席だし!

「・・・本当にいいの?」
「何が?」

玄関で尻込みしている私の横を通り過ぎ、仁坂はズカズカに部屋の中に入っていく。

「私、ここに住んでもいいの?それとも、一時的に家に招いただけ?」
「普通に住んでいいって意味なんだけど」
呆れたように仁坂にため息をつかれた。

「とりあいず風呂にでも入れば?そのままだと風邪引くよ」
「じゃあ・・・お邪魔します」