隣の席の一条くん。

『こわい』という印象だけじゃ、もったいない。


そういうつもりで言ったんだけど――。


…ふと、わたしの頬をなにかが掠めた。


「俺、べつに優しさ振り撒くつもりないから」


顔のすぐ横には、壁についた一条くんの大きな手。

そこからたどるように視線を向けた先には、少し怒ったような一条くんの顔。


「勘違いしてるようだから言うけど、だれにでもこんなことするわけじゃないから」