隣の席の一条くん。

「そうっす」


…えっ、そうなの!?


思いもよらない声が聞こえて、わたしは一条くんを二度見する。


「じゃあ、戻る?花宮さん」

「…あ、うん」


少し驚いたけど、何事もなく一条くんは話を続けた。

たぶん、ただの冗談っぽい。


だけどここで、疑問が浮かぶ。


右足は捻挫で痛くて、歩くのも辛い。

だけど、教室は3階。


…どうやって、階段を上るの?


「でも、先生…。わたし、足が痛くて教室までは――」

「問題ないっす。俺が連れて行くんで」