隣の席の一条くん。

そのとき、ちょうど一番下になっていた国語の教科書の裏表紙が見えた。


そこには、消えかけていたけど黒のマジックでこう書かれてあった。


【一条晴翔】


国語の教科書は、友達に貸したと言っていた一条くん。

てっきり男友達にだと思っていたけど――。


「その教科書…、一条くんのですよね?」

「…だったら、なに」

「一条くん、国語の教科書がなくて困ってるみたいなので、返してあげてほしいんですけど…」