隣の席の一条くん。

ママの言う通り、わたしはこれまで事務所の言う通りに仕事をしてきた。

べつに反抗するつもりもなかった。


だって、仕事をすることが楽しかったし。


恋ができないことに窮屈さはあったけど、それよりなにより仕事に夢中だった。


…だけど、わたしは知ってしまった。


『恋』というものを。

人を好きになるということを。


それは、どんな仕事よりも比べものにならないくらい楽しくて。