隣の席の一条くん。

「そんなんだったら、人類のほとんど、キスするたびに酸欠で倒れてるよ」


息苦しさで死にそうだったわたしの隣で、一条くんがクスクスと笑う。


一条くんは、今までに付き合ったことがあるから慣れてるかもしれないけど…。

わたしは、キスの仕方なんて教わったことがないんだから。


「そんなんだったら、次のキスシーンも危なかったな」

「…そうだねっ。撮影中に酸欠になるところだった」