隣の席の一条くん。

一条くんの服を摘む手が、緊張でプルプルと震えている。

その手を、一条くんの大きな手が優しく包み込む。


「俺…、情けねーよ」

「…え?」

「だって、花宮さんの口から…そんな肝心なこと言わせて。もし、花宮さんが俺のこと好きだったとしても、“恋愛禁止”のアイドルとして、『好き』って言葉は絶対に言わせたくなかったのに…」


一条くん…、そんなことまで考えてくれていたんだ。