隣の席の一条くん。

「だから、一条くんにしてほしいのっ…!!」


わからずやの一条くんに苛立って、わたしは思わずボートの上で立ち上がってしまった。

だけど、思っていたよりもボートの上は不安定で、その拍子にバランスを崩してよろける。


危うく池に真っ逆さまになりそうだったわたしの体を、一条くんが抱き寄せた。


「あ…ありがと」

「…ったく、気をつけなよ」


一条くんと目が合う。