隣の席の一条くん。

さっきまで向かい合わせで座っていたのに、わたしはいつの間にか、一条くんの腕の中に抱きしめられていた。


「…イヤじゃないわけないだろっ。お前が、他の男にキスされるなんて…!」


わたしを強く抱きしめながら、耳元で一条くんの悔しそうな声が漏れる。


「俺、…ちっせぇ男だよ。ただの芝居だってわかってるのに、こんなにムキになって…。でも、花宮さんがあいつにキスされるところ想像すると……冷静じゃいられなくなるっ」