隣の席の一条くん。

静まり返ったボートの上で、一条くんがまっすぐにわたしを見つめた。


「花宮さん。あいつから…聞いた」

「あいつって……。…怜也のこと?」

「…そう。ラストシーンで、あいつとキスするって…」


一条くんから『キス』という言葉が出てきて、胸に針が刺さったようにチクッと痛んだ。


「でも、お似合いだからいいんじゃねぇの?やっぱり花宮さんに似合うのは、ああいう男なんだと思う」