隣の席の一条くん。

「強引に花宮さんを付き合わせたみたいになったけど、機材トラブルでさらに30分休憩を伸ばすんだって」

「そうなの?それを伝えにわざわざ…?」

「…まあ。それと、気になることがあって……」

「気になること…?」


わたしが尋ねると、一条くんはボートを漕ぐのをやめた。

いつの間にか、ボートは大きな池の中央付近にまできていた。


聞こえるのは、水面がボートに当たる水音と、優しく髪を撫でる風の音だけ。