5時間だけのメイド服

 一口食べた唯子を見て、わたしはにやりと笑って見せる。

 「なによ」と低い声が飛んできて、「美味しいでしょう」と返す。

 「これくらい、わたしだって作れる」

 「ごはんは洗えないけどね」

 「うるさい! べちゃべちゃになると思うでしょう、普通」

 「だからちゃんと水気を取るんだよ。ペーパーにべったべたにくっつくのと戦いながら」

 「それなら、普通のごはんを使えばいいじゃない」

 「まだまだだねえ」と、わたしは笑ってやる。「ごはんのぬめりを取らないと」

 「……でも、もうわたしだってできる」

 むきになって言うのが面白くて、わたしは笑った。「うん、簡単だから作ってみて」

 「唯人は?」と、彼女は、隣の兄の顔を覗き込む。「美味しい?」と、自分が作ったように尋ねる。

 「うん、美味しいよ」と答えられると、自分の料理に対して言われたように、照れたように笑う。けれどわたしは、それなら今度作ってみようかな、という唯子の気持ちが、そんな言葉を聞いたようにわかった。顔に、そのまま書いてある。本当、こうして見ていると、二人はまるで恋人。