「俺、食いたいなー。玉子焼きと、美月の握ったおにぎり。ねー、ちょうだい?」
ねだるような上目遣いで小首を傾げられ、胸がとくんと音を立てる。
「あっ、あげないから」
今日は一之瀬くんに色々と助けてもらってるのに、素直になれない私。
「それより一之瀬くん。いつまで私の肩に顎のせてるの?」
「もしかして、やめて欲しい?」
「そりゃあ、もちろん……」
私は、何度も首を縦に振る。
だって、一之瀬くんがそこに居たんじゃ、気になってお弁当食べられないし。
「そっか。それじゃあ、美月がそのおにぎりを俺にくれたら、離れてあげても良いよ?」
一之瀬くん、そんな言い方……ズルい。



