「おはよう、一之瀬くん」
「朝陽くん、今日もかっこいい」
教室に入ると、朝陽くんの元へといつも通り女の子たちが声をかけてくる。
ああ、朝陽くん……またあんなに女の子に囲まれて。
女の子に囲まれる際に、繋いでいた手も離れてしまった。
「おはよう、皆」
朝陽くんが、王子様スマイルを振りまいている。
自分の彼氏……が、目の前で他の女の子に囲まれてる姿を見るのは、胸がチクリと痛む。
「おはよう、古賀さん」
私が席に着くと、クラスメイトの林くんが声をかけてきた。
「今日も可愛いね!」
「あっ、ありがとう」
「ねぇ、古賀さん。昨日の数学の宿題、難しくなかった? 俺、ここ分からなかったんだけど」
林くんが、昨日の宿題のノートを私の机の上に広げてくる。
林くん。ここ最近は毎日のように、こうやって私に声をかけてくるんだよね。
「ここの問題なんだけど、良かったら教えてくれない?」
「いやーあの……私、数学は得意じゃないから……」
教えてって言われても、困る。



