「うん。美月のこと、これからはそう呼ぼうかなって」
「“ みつ ”って呼ばれたのは、初めてかも」
「そう。それはよかった。俺、美月のこと他の人と同じ呼び方すんのヤダし」
同じ呼び方するのヤダって……。
ひょっとして、独占欲とかそういうのかな?
「これからは、みつって呼んでいーい?」
「いい……よ」
朝陽くんに言われると、いつもなぜか断れない。
「やった!」
心の底から喜んでいるような笑顔。
断れないのは多分、私が朝陽くんの笑顔を見たいから。
「これからよろしく、みつ」
朝陽くんだけの呼び方。なんかまだ慣れそうにない。照れるなぁ。
──今日から朝陽くんが彼氏。
私の人生初めての……彼氏。
これから、どんな毎日が待っているんだろう。たぶん、きっと、今まで以上に楽しいってことは間違いない。
空を見上げると、先ほどまでどんよりと曇っていたはずの空は、いつの間にか太陽が顔を覗かせ、きれいな青色が広がっていた。
それはまるで、久しぶりにスッキリと晴れ渡った私の心と一緒だ。
私は彼とのこれからの日々に思いを寄せながら、朝陽くんと手を繋ぎ2人でゆっくりと歩き出した。