「きゃー! 王子様が怒った!」
「怒った一之瀬くんもかっこいい〜」
一之瀬くんが女子に言い返したせいで、一之瀬くんの人気に影響が出たら……と、一瞬思ったりもしたけど。
その心配は、無用だったらしい。
一之瀬くんの怒ったところを見られたと、女子たちは逆に喜んでいる。
要するに、どんな王子様も良いのね。
「はぁ……あいつら、なんでそうなるんだよ。ほんとうぜぇ。1回黙れよ」
「え!?」
今、隣の一之瀬くんの口からボソッと小さな声で、何やら耳を疑うような言葉が聞こえたような……。
「あ、やべ。ううん。何でもないよ」
キラキラした太陽のような笑みを浮かべる、一之瀬くん。
やっぱりさっきのは、私の聞き間違いだったのかな?
王子様の一之瀬くんが、あんな下品な言葉遣いするわけないよね。



