「みっちゃん、今まで一之瀬くんと一緒にいたの?」

「うん、少しだけ。ナンパされて困っていたところを、通りかかった朝陽くんが助けてくれて……」

「そうなの!? ナンパ大丈夫だった?」

「うん」

「一之瀬くん、なんだかヒーローみたいだね」


そうだね。私が困っていたところを助けてくれた。ヒーローみたいに。


「一之瀬くん、優しいね」


私は、七星にコクリと頷く。


うん。朝陽くんは、やっぱり優しい。今日改めて思ったよ。


「みっちゃん。さっき一之瀬くんといるとき、久しぶりに良い顔してたよ?」

「え!?」

「ふふ。みっちゃん、やっぱり一之瀬くんが好きなんだね。一之瀬くんを好きって気持ち、やっと自分でも気づけたみたいだね?」

「え!? やっと……って。七星分かってたの!?」


「うん。1年以上、みっちゃんと友達なんだもん。いつも学校でみっちゃんを見てたら、さすがに分かるよ。誰を好きかって」


まさか七星が私自身よりも先に、私の気持ちに気づいていたなんて。


「みっちゃんがあたしにお化粧教えて欲しいって言ったのも、そういうことでしょ?」

「七星さんのおっしゃる通りです」


七星、いつも私のことよく見てくれてるんだなぁ。


確かに、こんなふうに変わりたいと思ったりしたのは初めてだ。

これもきっと、朝陽くんに恋をしたから……だね。