朝陽くんから、名前を呼ばれたと思ったら。 彼の指が私の顎に触れ、そっと上を向かされた。 真っ直ぐこちらを見つめる、朝陽くんの瞳。 唇が触れ合いそうな距離に、心臓が騒ぐ。 「あれは事故だったとは言え、この唇に他の男が触れたと思うと……妬けるな」 しなやかな動きで、彼の人差し指が私の唇を撫でていく。 「この唇に、俺が上書きしてやりたい……」 その指は唇から頬を撫で、首筋を伝い…… 。 「……っ」 そこで動いていた指が止まり、朝陽くんの表情が歪んだ。