変なことを考えてたら、ダメだ。 とっ、とりあえず今は、冷静になろう。 まずは、後ろから助けてくれた一晴くんにお礼を言うのが先だ。 「いっ、一晴くん」 「あっ、ごっ、ごめんっ!」 一晴くんはそこで我に返ったのか、私からパッと離れる。 「一晴くん。助けてくれて、どうもありが……」 …──ぐいっ。 「とう……って、え?」 私は、階段を駆け下りてきた朝陽くんに無言で腕を掴まれると、強引に連れて行かれる。 「前島。美月を助けてくれて、本当にありがとう。ちょっと美月、借りるわ」