「まぁ俺は、美月が好きなモノなら何でも。だって自分の好きな子の、好きな本っていうだけでめっちゃ興味あるし。読みたいって思うから」


好きな子……。いつも当然のように言ってくれる。


「それと、最近私が面白かったのは、駅伝の青春小説なんだけど……」


私は、図書館の本棚を順番に見て歩きながら目的の本を探す。


えーっと、あの小説のタイトルは……。


あっ、あった! けど……。


お目当ての単行本は、高い本棚の一番上。
私の目線よりも、かなり上のところにある。


わたしの身長は、154cm。こういうとき背が低いと、すぐに手が届かなくて困っちゃう。


踏み台、すぐ近くにないし……でも、頑張って背伸びしたら、届くかな?

それでとれなかったら、踏み台をとってきたら良いか……。


私は、本をとろうと背伸びをして、手を伸ばす。


んーっ、とれ……ない。あと少しで届きそうなのに……。


私が、本をとるのに思いのほか苦戦していると……。


「……これで良いの?」