「で、さっそくだけど。美月のオススメの本、何かある?」


図書館のカウンターで借りていた本を返却すると、朝陽くんはさっそく私に聞いてくる。


「恋愛? ミステリー? 朝陽くんの好きなジャンルは?」

「んー、基本何でもいけると思う。最近、某コンテストの大賞受賞で話題の、大学生作家の小説も読んだし」

「あ! それ、私も読んだよ。結末が予想外で……」

「そうそう! 最後、まさかのどんでん返しでびっくりした〜」


朝陽くん、楽しそうに笑うなぁ。


「朝陽くん。同じ大学生作家の、デビュー作も良かったよ」

「おー。それなら俺、去年実写映画でやってたの観たわ。面白かったから、原作も読んでみたいと思ってたんだよな」


まさか、朝陽くんと小説の話ができる日が来るなんて……思ってもみなかった。