「……もぉ。朝陽くんったら」
もぉ。と言いながらも美月は、なかなか俺と繋いだ手を離そうとしない。
……良いのかよ? 美月。そんなんじゃ俺、勘違いしてしまうじゃん。
美月も俺と、手を繋いでいたいって思ってくれてんの? って。
このまま授業中もずっと、美月と手を繋いでいられたら……すっごいやる気出るのに。
先生に見つからないかドキドキしながら、こっそり手を繋いでるのも、楽しいし?
それから少しして、美月のほうからスっと手を離してしまった。
あー、ざんねん。まぁ、授業中だし仕方ない。
俺は、美月に拾ってもらった消しゴムを眺めていると、ふと思い出してしまった。
美月と初めて出会ったときのことを……。



