「……そっか。そういうことがあったんだ」


話し終えたあと、先に口を開いたのは一之瀬くん。


「暗い話をしてしまってごめんね?」


「なんで美月が謝るんだよ? 成宮やその幼なじみの男たちが悪いんじゃん。そいつらのせいで美月は、苦しい思いをして……許せねぇ。

だから俺が告白したときも、罰ゲームとか遊びだって言ってたんだな。今まで何も知らなくてごめん」


どうして、一之瀬くんが謝るの?


「美月、辛かったよな。きっと、思い出したくないことなのに。俺に話してくれてありがとう」


一之瀬くんが、私の頭を優しく撫でる。


一之瀬くんの大きな手に頭を撫でられると、安心する。


「俺は……中学のそいつらとは違うから。美月のこと、裏切ったりなんてしない。バカにしたり、笑ったりもしない。
中学時代のことが分かった今、すぐに俺を信じろなんて、言わない。
ゆっくりで良いから……。俺が美月のことを本気で好きだって信じてもらえるまで……何度だって言うよ、『好き』だって」