それから数日後の放課後。
バイトのある七星と別れ、私は1人、本を借りるため学校の図書室に向かって廊下を歩いていた。
「ねぇ、あの子じゃない? 5組の。確か王子様が片思いしてるっていう……」
「えー? まじ? あんなフツーの子のどこが良いんだか」
ーーズキン。
廊下ですれ違った、他のクラスの知らない女の子に言われた。
一之瀬くんが私を好きだという噂は瞬く間に広がり、私は今みたいに女子からすれ違いざまに言われることが増えた。
胸を少し痛めながら、図書室に到着。
図書室は、黙々と勉強する学生や、読書する学生の姿がちらほら。
うーん、どの本を借りようかな?
私は本棚を見上げながら、図書室内をしばらくゆっくりと歩く。
あ! その中で、ある1冊の単行本が目についた。
今年の、『書店大賞』で2位だった小説。
図書室にも置いてあったんだ。
大賞にノミネートされたときから気になりつつも、まだ読めていなかったから、これにしようかな。
そう思い、私が少し背伸びして、本棚のお目当ての本へと手を伸ばしたとき……。
別の方から誰かの手がスッと伸びてきて……。
「!」
私たちは、同時にそれを掴んだ。



