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文隆のお墓は見晴らしのいい高台にあった。


そこはお寺が管理している場所らしく、綺麗に掃除されている。


桃田さんに連れられていった無縁墓とは大違いだった。


「ここよ」


森安さんに連れてこられた墓もまた綺麗で、新しい花が添えられていた。


墓石にはちゃんと本人の名前が刻まれている。


「実は私も昨日きたところだったの。あの家の掃除をするついでに」


そう言うと、森安さんは持ってきた線香に火をつけてそえると、手を合わせた。


それにあわせ、俺は一歩後ろで手を合わせる。


「さ、佐々野君。お願いね」


「はい」


俺はうなづいて文隆の墓の周りに沢山のおもちゃやCDを並べていった。


世の中にはこんなに楽しいものがあるんだ。


もう、人殺しを娯楽にする必要はない。


心の中でそう言いながら。


桃田さんだって最初は俺と同じ様な気持ちだったのだろう。


文隆を喜ばせたい。


その一心で映画に連れ出していた。